クールな同期と熱愛はじめ
「では、申し訳ありませんが、よろしくお願いします」
施主と外で打ち合わせをするのは初めてだった。
それは私に限ったことではなく、ほかの設計士も打ち合わせは社内だ。
とはいえ、施主の希望とあれば仕方がない。
「例の施主?」
手帳に予定を書き留めていると、桜木くんが脇を通りがかった。
手にはコーヒーを持っている。
出勤してすぐに淹れにいったんだろう。
「うん。なにか確認したいことがあるんだって」
「何時に来るって?」
「それが、外で打ち合わせしたいって言われて。六時頃に迎えをよこすって言われたの」
桜木くんが眉をひそめる。
「……どうかした?」
私が下から見上げると、桜木くんは「いや」と首を横に振った。