クールな同期と熱愛はじめ
変な風に勘繰るのは高梨さんに失礼だ。
軽く深呼吸をして、車のシートにゆったりと座った。
しばらくしてインテルノへ到着すると、エントランスで運転手が降り立ち、私を後部座席から降ろした。
そして、車はホテルの敷地から出て行ってしまった。
運転手から場所の指示もないまま、迷う足取りで入口を抜ける。
まばゆい照明の下、ゆっくりと足を進めていると、「宇佐美さん」と私を呼ぶ声が聞こえた。
声のした方へ振り向くと、そこには高梨さんが右手を上げて立っていた。
私と目が合い、指先をひらひらと振る。
「こんばんは、お待たせいたしました」
腰を折り曲げながら近づく。
「いえ、待っていませんよ。こちらこそ、お呼び立てして申し訳ありません」
高梨さんの前で足を止めると、「さぁ、行きましょうか」と彼が私の腰辺りに触れた。
突然のことに、ビクンと肩が弾む。
「あ、すみません。ついいつもの癖で」
謝ってくれたものの、高梨さんは離れようとはしなかった。