クールな同期と熱愛はじめ

◇◇◇

社屋のエントランスに黒い高級外車が横づけされた。
自動ドアの内側で待っていると、降り立った運転手らしき男性が「宇佐美様ですか?」と私に尋ねる。
午後六時きっかりだった。

それに頷くと、「宇佐美様をお連れするようにと高梨より承って参りました」と彼が深く頭を下げた。

車の後部座席に乗り込む。
高級仕様の内装は、真新しい匂いがした。


「どちらへ行くんですか?」

「ホテルインテルノへお連れするようにとのことでございました」

「――ホテルへ!?」


大きな声を上げた途端、ルームミラーで運転手と目が合った。
すぐに視線を前へ戻しながら、彼が「そう申しつかっております」と言う。

インテルノといったら、最上級クラスのホテルだ。
どうしてそんなところへ……。
ちょっとした疑念が沸いたものの、ホテルのロビーやレストランで打ち合わせをするつもりなのかもしれないと、すぐに思い直した。

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