クールな同期と熱愛はじめ
「すみません、猫舌なんです」
高梨さんが目をキョトンとさせる。
「そうなんだ。それじゃ、俺がフーフーしてあげようか?」
口は笑っているのに目はそうじゃなくて、冗談なのか本気なのかわからない。
でも、ここはジョークとして笑い飛ばそう。
そうでもしないと、高梨さんのペースに巻き込まれてしまうだろうから。
「それじゃ、お願いしちゃおうかなー」
冗談めかして笑いながら言う。
すると高梨さんは、本気でラザニアを冷まし始めてしまった。
スプーンですくって、息を吹きかける。
ど、どうしよう……。
まさか真に受けるとは思わなかった。
向かい側の席から、彼が「はい、あーん」とにこやかに手をめいっぱい伸ばす。
固まる私に、さらにスプーンが突き出された。
こうなったら仕方ない。
場の雰囲気を悪くはしたくないから、このひと口だけは食べよう。
控えめに唇を開き、顔を前へ出す。