クールな同期と熱愛はじめ
これ以上、予定があると断り続けたら、今度こそ本当に怒らせてしまうかもしれない。
「その週末なら大丈夫かと思います」
そう言うよりほかなかった。
高梨さんが、「じゃ、山方面を目指してドライブでもしよう」と顔をパッと明るくする。
約束はしてしまったけれど、その話題がここで終わることに安堵する。
彼に気づかれないように、息を細く長く吐き出した。
それからは当たり障りのない会話が続き、私たちはようやく食事を食べ終えた。
空の皿が並んだ状態で打ち合わせはできないので、私たちはソファテーブルへと移動することにした。
長方形のテーブルを囲むように、向かい合う形で三人掛けソファが並んでいる。
その片方へ腰を下ろすと、向かいのソファへ座るだろうと思った高梨さんは、私の隣に並んだ。
それも、拳ひとつ分と空いていない距離だ。
書類を置くどさくさに紛れて離れようとお尻をずらすと、高梨さんも追いかけてくる。
やだな。どうしよう。
やっぱりスイートルームで打ち合わせなんて間違えていたのだ。
そう思ったところで、今さらどうにかできるものでもない。
一度足を踏み入れてしまってからでは遅いのに。