クールな同期と熱愛はじめ
私の動きは全部、桜木くんの耳に入り、簡単に予測まで立てられていたのだ。
クレアホームを辞めることも、実はずっと以前から考えていたことだったらしい。
元々の志望が、住宅メーカーではなく建築設計事務所だったから。大きな建築物を設計したいと。
住宅設計は、彼の本意ではなかった。
確かに、設計職を目指す人のヒエラルキーは、アトリエ系設計事務所がトップで、次いでスーパーゼネコン、住宅メーカーは最下層に位置していると言われている。
桜木くんがどこか冷めた様子で仕事をしていたのは、そういった想いもあったからなのかもしれない。だから、夜間には学校に通い、来るべき未来のために備えていたのだ。
そして彼は今、その夢が実現するところまできている。
「こんばんはー。わあ! 桜木くん!? 久しぶりだねぇ」
オアシスに入ってくるなり、胡桃はカウンターに私と並んで座る桜木くんに駆け寄った。
「久しぶり」
「チラッと悠里に聞いたけど、すごい建物を設計したんでしょう? 雑誌に載っちゃうなんて、すごいなぁ」