クールな同期と熱愛はじめ

「桜木くんも悠里と同じしし座だよ」

「えっ、そうなの……?」


背もたれから体を起こす。
向かいの席に座った胡桃は、ニコニコ顔で首を縦に振った。


「誕生日は七月三十日」

「……よく覚えてるね」


数字にはことごとく強いのが胡桃だ。それに関しては、記憶力も計算力も群を抜いている。
入社二年目の同期会のときに特技の話になり、円周率を延々と言い続けた彼女にみんな唖然としてしまった過去がある。

しかし、桜木くんもしし座だったとは……。
あの占いは彼にしてみたら、大当たりだったということだ。神様は、同じしし座でも桜木くんを選んだのだ。

天にまで見放されたような気がしてならなかった。


「また今度頑張ろうよ。ね?」


両手で拳を握って、胡桃は胸の前で軽く振った。
何度やる気を奮い立たせたらいいんだろう。
いつかお客様に、桜木くんよりも選んでもらえる日がくるんだろうか。

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