クールな同期と熱愛はじめ
◇◇◇
私が仕事に復帰できたのは、それから二日後のことだった。
桜木くんのおかげで飢え死にすることも、体調が悪化することもなく、体はすこぶる快調。“なにかあったら電話しろ”と言われていたが、そこまで困ることもなく、彼を有料で呼びつける事態にはならなかった。
出勤したロッカールームでは、胡桃が制服へと着替えていた。
「わ! 悠里! もう大丈夫なの?」
彼女がベストのボタンを留めながら私の方へとやって来る。
私はバッグをロッカーへしまい込むと、パタンとドアを閉じた。
管理系の経理課所属の胡桃には制服があるけれど、クリエイティブ系の設計部に属する私にはないのだ。
「うん、すっかりよくなったよ。心配かけてごめんね」
ご飯を作りに来ると言ってくれていた胡桃には、風邪を移したら申し訳ないと断っていた。
彼女が「どれどれ?」と言いながら、私の額に自分の額をコツンと当てる。検温するつもりらしい。
かわいらしい胡桃にそうされると、同性とはいえドキッとする。
「よしよし、熱はないね」
「ありがと」
胡桃はパッと顔を明るくさせた。