クールな同期と熱愛はじめ
畳んだままのものを手に取り、私の頭から被せる。毛布で体を覆ったまま、もぞもぞと袖を通した。
「ありがと、あとは自分で――」
言いかけた言葉は止めざるを得なかった。膝の裏に桜木くんの手が差し込まれた次の瞬間、彼に抱き上げられたのだ。
ふわりと浮いた体。突然のことに声が出ない。胸の前で拳を握りしめ、体が硬直してしまった。
そして、すぐさまベッドに下ろされた。ものの数秒のことだった。
仰向けで手を握りしめたまま、目線だけ桜木くんを見る。別にどこにも変わりはない、いつもの真顔だった。
「そんな様子じゃ、カギを締めに玄関にもいけないだろ」
「ど、どうだろ……」
今の彼の行動に意味がないとはいえ、私ひとり動揺する。訳を知らない心臓は、心拍数を勝手に上げていた。
「下の郵便受けに入れておくから、もう少し体調がよくなったら取りにいけるか?」
小刻みにうなずく。
「じゃ、そうしよう。で、カギは?」
「へ? ……あ、え、えっと玄関のラックに……」
なんで私はこんなにしどろもどろなのだ。
「大人しく寝てろ。なにかあったら電話しろ。特別に有料で来てやる」
「ゆ、有料?」
聞き返すと、それには答えずに彼は目元に笑みを浮かべた。
出ていく間際になんとか「ありがとう」と伝え、ふーっと息を放った。