部長が彼になる5秒前
「うん、ありがとう。
…ちゃんと話してみる。本当にありがとう。」
想いに気づかせてくれた、大事な同期にお礼を言って、私は電話を切った。
明日、全部伝えよう。
そう決心して携帯を握りしめた自身の手は、僅かに震えていた。
*
「自信持って行っておいで!」
前回同様、そうやって鏡に映る私に微笑みかける絢には、準備を始める前に昨夜のことを話した。
「もしダメだったとしても、その時は、私のとこに戻ってくればいいんだし!」
両手を広げる絢はやっぱり頼もしい。
私には、素敵な同期しかいない。
「うん、行ってきます…!」
最後に彼女がつけてくれた簪が光ったのを見て、私は玄関を出た。