凄腕救急医は離婚予定の契約妻を湧き立つ情熱愛で離さない
「あなたに気を遣っているんです。分かりませんか? ただでさえ、入院されていたことで仕事に遅れが出ているんです。数百億の損失が出た場合、あなたが取り合えせるのなら話は別ですが?」
初めて聞く話だ。仕事に遅れが出ていることも、透の仕事がそれほど大きな金額を動かしていることも。美鶴は力なく頭を振った。
「そんなこと、私にはできません」
「そうでしょう。でしたら社長の邪魔だけはしないでください。ご自身がマイナスの存在であると自覚してください。どうかお願いです」
返す言葉がなかった。自分の存在が透の足を引っ張っているのだと面と向かって言われてしまった。夢のような東京の生活に浮かれていた自分が惨めに思える。
「それから、SNSへの投稿はご遠慮ください。特にご自宅の写真は危険です」
「見たんですか?」
公開しているとはいえ、近しい人間からこのような形で投稿を指摘されるといたたまれない気持ちになる。美鶴はスマホを強く握った。
「東京での生活のサポートをと社長から言い使っておりますので、プライバシー保護の観点から助言させていただきました。これはあなただけの問題ではありません。社長のためにも削除していただけますか?」
「……わかりました。消します」
美鶴は言われるがままスマホを操作すると投稿を削除した。軽率だったのかもしれない。何気ない投稿から自宅を特定されることもあると聞いたことがある。
「ご理解いただきありがとございます」
冴木はそう言って頭を下げた。そしてすぐパソコンを開いてなにやら作業を始める。美鶴にとって会話のない時間はありがたかった。 マンションのロータリーに着くとお礼だけ言って逃げるように車を降りた。荷物を運ぶといわれたが断った。
「疲れた……」
リビングで思わずこぼれた言葉にため息が出た。
冴木の言葉が小さな傷のようになって疼く。”妻失格“”マイナスの存在“透も同じことを思っているのだろうか。妻に選んだことを後悔しているのだろうか。
そう考えて美鶴は小さく震えた。
初めて聞く話だ。仕事に遅れが出ていることも、透の仕事がそれほど大きな金額を動かしていることも。美鶴は力なく頭を振った。
「そんなこと、私にはできません」
「そうでしょう。でしたら社長の邪魔だけはしないでください。ご自身がマイナスの存在であると自覚してください。どうかお願いです」
返す言葉がなかった。自分の存在が透の足を引っ張っているのだと面と向かって言われてしまった。夢のような東京の生活に浮かれていた自分が惨めに思える。
「それから、SNSへの投稿はご遠慮ください。特にご自宅の写真は危険です」
「見たんですか?」
公開しているとはいえ、近しい人間からこのような形で投稿を指摘されるといたたまれない気持ちになる。美鶴はスマホを強く握った。
「東京での生活のサポートをと社長から言い使っておりますので、プライバシー保護の観点から助言させていただきました。これはあなただけの問題ではありません。社長のためにも削除していただけますか?」
「……わかりました。消します」
美鶴は言われるがままスマホを操作すると投稿を削除した。軽率だったのかもしれない。何気ない投稿から自宅を特定されることもあると聞いたことがある。
「ご理解いただきありがとございます」
冴木はそう言って頭を下げた。そしてすぐパソコンを開いてなにやら作業を始める。美鶴にとって会話のない時間はありがたかった。 マンションのロータリーに着くとお礼だけ言って逃げるように車を降りた。荷物を運ぶといわれたが断った。
「疲れた……」
リビングで思わずこぼれた言葉にため息が出た。
冴木の言葉が小さな傷のようになって疼く。”妻失格“”マイナスの存在“透も同じことを思っているのだろうか。妻に選んだことを後悔しているのだろうか。
そう考えて美鶴は小さく震えた。