凄腕救急医は離婚予定の契約妻を湧き立つ情熱愛で離さない
「嫌か?」
 唇を離し、透はそう聞いてくる。美鶴は頭を振った。
「嫌じゃないです。……私のはじめては全部透さんがいい」
「やめてくれないか」
 透は辛そうな顔で美鶴を見る。
「そんなこと言われたら、止められなくなる」
「止めないでください」
 それは本心だった。結婚しても男女の触れ合いが一切ない関係に一抹の寂しさを覚えていた。でもそれは透だからで、他の男性では違う。憧れと尊敬と愛情が感じられる関係だからこそ抱く感情なのだ。
「いいんだな」
透は軽々と美鶴を抱き上げた。
「寝室へ移ろう」
 いいながら自分の寝室へと歩いていく。美鶴は透の首元にしっかりと手を回した。
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