凄腕救急医は離婚予定の契約妻を湧き立つ情熱愛で離さない
6.さよなら
6.サヨナラ

「美鶴ちゃんしばらく見ないうちに綺麗になったね」
 暫くといってもたった数日なのだが、仲村は美鶴の些細な変化に気付いたようだ。
「業務外の会話はやめてください。夫が嫌がるので……」
 そう突っぱねても気にする気配はない。
「別に同僚として世間話するくらいいいでしょ、つれないなぁ」
「仕事中ですのでこれで失礼します」
 仲村はまだ話したそうにしていたけれど美鶴は笑顔でその場を離れた。
 透とお互いの気持ちを確かめ合ったあの夜。最後まで抱かれることはなかった。避妊具がないのだと透から申告されたとき、美鶴は残念に思いながらも心のどこかでほっとしたのも事実だ。透は申し訳なさそうに詫びて休みがとれたら温泉にでも行こうかといった。だが、ただでさえ仕事は多忙を極めている上に医師の仕事も、となれば休暇など撮れるはずがない。なによりも日に日に疲れを滲ませていく透の体の方が心配だった。
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