クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~


呼ばれた瞬間、ナゼという疑問が頭を埋め尽くす。


「名前……どうして?」

「その辺りは後だ。行くぞ」


いつの間にか男性に腕を掴まれ、強めに引かれて慌てて足を動かす。かなり歩幅が広い上に、どんどん進むから転ばないようにするのが精一杯で。あっという間に着いた車の左側の席には、ブランケットが広げられていた。


「乗りなさい。仔犬はそのままでいいから」

「は、はい」


有無を言わせぬ威圧感に、慌てて席に身を滑り込ませた。これで良いかな? と座って仔犬を抱きしめていれば、右側の席に座った彼が急に手を伸ばすから、ビクッと身体を縮こまらせるけれど。彼は、薄い布でできた頑丈そうな幅広い紐を私の体に密着させ、カチリと金具をどこかに留める。


「シートベルトくらいしなさい」

「……シートベルト……ですか?」


聞き慣れない単語に首を捻っていると、再度ため息が聞こえてまた機嫌を損ねたかと身体が震えそうになるのを必死で堪えた。


「……いや、いい。とりあえず行くぞ」


バタンとドアを閉めた彼は慣れた様子で車を発車させ、駐車場を出た。


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