クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
そして、到着した先に驚いた。
未だに黄色い規制線が張られて近寄れない、燃え落ちたアパートのすぐそばだったんだから。
まだ忙しく立ち働く警察官や消防士たちを遠目に見て、なるほどと男性は呟いた。
「確かに火事に遭ったというのは嘘ではないようだな」
「……でも、どうして私の住所を知ってらっしゃるのですか?」
勝手に一人で納得されても困る。こちらは相手のことを一切知らないのに、そちらは名前どころか住所をなぜ知っているのだろう。なんだか不思議を通り越して不信感に身を震わせると、彼は何も言わずに車を発進させた。
「あの……わ、私。ここで下ろしていただければ」
「泊まる当てはあるのか?」
「いえ……ですが、ご迷惑をお掛けする訳にはいきませんから」
男性の問いかけにはあくまでもハッキリと意思を示しておく。
別に犯罪に巻き込まれると決まった訳ではないけれど、彼の正体がわからないのにこちらの情報を知られてる以上、警戒心を解くのは危険に思える。
「なら、一緒に来ればいい。私にも関わりがあることだからな」
そう告げた彼は私の返事を待たずに車を運転して、来た道を引き返してゆく。
「あ……あの、困ります! 私……」
「そんな格好で市役所に行くつもりだったのか? それでは不審者扱いされるが関の山だぞ」
男性に言われて初めて自分の姿が気になり、前にある鏡に自分の姿を写して絶句した。
スーツや髪が濡れているのは仕方ないにしても、あちこち泥まみれでシワだらけ。しかもところどころ破れたりしてる。ストッキングは完全に伝線してるし、顔は泥だけでなく擦りむいたりぶつけた痕で悲惨な状態。髪はぐしゃぐしゃに縺れ、汚れがこびりついたまま。
確かに……このまま行けば通報されかねないと認めるしかなかった。