クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~


「心配するな。新人に手を出す趣味はない」

「え……」


新人? 何のことだろうと首を捻りながら膝の上に抱えた仔犬を撫でていると、彼がチラッとそちらを見て口を開く。


「仔犬には牛乳で良いのか?」

「あ……たぶん。すみません……私もよくは知らないのです」

「そうか。なら、一応買っておくか」


男性は先ほどとは違う系列のコンビニに向かい、車を停めると訊ねてくる。


「苦手な食べ物やアレルギーはあるか?」

「い、いえ。でも……」


まさか何か買って下さるつもりなのかと思えば、申し訳なくて自然と腰が浮いてしまう。けれど、それを手のひらで制されてしまった。


「せっかく眠っている仔犬が起きてしまうかもしれない。大人しく座ってなさい」


一切温かみのない厳しい口調で命じられれば、もともと立場がない私は従うほかなくて。黙ってまたシートに身を沈めた。


車から出た男性はしばらく経ってから二つの大きな袋を手に戻ってきて、また運転に戻るけれど。なぜか、コンビニの店員さんがこちらをちらちら見ては笑いあってる? 不思議に思いながら横の彼を見ると、唇を一文字に結んで機嫌が悪そうに見える。触らぬ神に祟りなし、と私は身を縮こまらせひと言も発しなかったけれど。


到着した先の建物を目にした途端、その努力は無駄になった。

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