クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~

「わぁ……」


まるで、童話に出てくるお城みたいだ、と一瞬思ってしまった。茶色いレンガ造りの外壁と白い屋根がかわいらしい、大きめの一軒家のような二階建ての建物が幾つも並んでる。


バタンと何度かドアを開閉する物音が聞こえて、ハッと我に返るといけないと首を振った。

物事に夢中になるとすぐ周りが見えなくなる。私の悪い癖だ。


仔犬を抱きしめたまま開こうとドアに手を伸ばすと、それよりも先にそれが開いて男性が顔を見せた。


「早く降りなさい」


シンプルな紺色の傘がこちらをカバーするように傾けられているのを見て、慌てて車から降りる。彼がビニール袋を幾つも持っているから、一つ持とうとするけれど、警戒されたのかさりげなくかわされた。


「着いて来なさい」

「は……はあ」


きっと仔犬を助けるためだと思いつつ男性の傘に入らせていただく。彼が濡れないように、遠慮しながら歩いた先。一つの建物に二つ玄関がある不思議な構造に、どうやって暮らしているんだろう? と首を捻っていると。男性はごく普通に鍵を使って一つのドアを開いた。


そして、中に入ってその造りに更に驚く。二階建ての建物を二つに区切って使っているらしい。興味深くて思わずきょろきょろと周りを眺めてしまう。


吹き抜けがあるせいか解放感のある玄関ホールには、鈴蘭をイメージしたような小さなシャンデリアがオレンジ色のあたたかな光で周囲を照らしてる。白を基調にした壁だけど階段や柱は木造で、お洒落ななかにぬくもりを感じる気がした。


< 13 / 280 >

この作品をシェア

pagetop