クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
三辺さん……
葛城さんを名前呼びするほど親しくて、きっと誰よりも彼を理解してるひと。
葛城さんが……唯一愛するひと。
私がどんなに努力したって、彼女の代わりにはなれない。
それは、当たり前だ。三辺さんは三辺さんで、まったく別の人間。私とは違うんだから。どれだけ近づこうとしたところで、代わりになるはずもない。
私は、葛城さんにとってただのペット。彼から違う時に三度も直に告げられているのだから、その立場が覆ることはあり得ない。
だけど……
ペットでも、彼はそばにいることを許してくれた。好きになってからは辛すぎたけど、それでもやっぱり彼のそばに居られてよかった。
しあわせ、だった。
そう、確かに私はしあわせだったんだ。彼のそばにいられて。家族のように暮らせた。今まで生きてきて、一番楽しくてしあわせを感じたんだ。
たった数ヶ月。それでも、私には夢のような毎日だった。
本当なら今ごろ路頭に迷っていたかもしれない私が、きちんと夢を持てるようになったのも葛城さんがいてくれたから。
だから、私なりに精一杯のことをしたい。一方的にサヨナラなんて恩知らずなことはしたくないから。私が出来ることを考えるために、三辺さんに会おう。
そう思えたから、加藤さんに頭を下げた。三辺さんの連絡先を教えていただくために。