クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
お昼休み。葛城さんは仕事を取りやめて珍しく外食したようだった。
そのお相手はあのお嬢様だと、同じ課の女子社員が話をしていたのを聞いた。
「すみません、急に呼び出したりして」
「いえ、いいのよ。息抜きになってちょうどいいわ」
仕事が終わった後、近くの喫茶店で待ち合わせたのは三辺さんとだった。
1ヶ月半ぶりに見る彼女は少しふっくらして、全体的に柔らかい印象になってる。
少し目立ち始めたお腹を擦る仕草を見ない様にしながら、紅茶を口に運びどう話を切りだそうか悩んでいると、彼女の方から口を開いた。
「真理(まり)さんに何を言われたのか、私にはだいたい察しがつくわ」
真理? 誰だろうと必死に考えて、思い出したのは桜井のお嬢様の名前だったということ。
そうだった。三辺さんは桜井の嫡男の妻になったんだ。だから今は彼女が義妹という関係になる。だから、彼女のフォローの為に話を始めたんだとようやく理解した。
「あなたがなにに悩んでるのかは薄々察しがつく。けど、いつまでもぐるぐる同じ場所を回っていても、何の解決にもならない。教育期間中にも教えたでしょ? “わからない問題は一人で解決しようとせず誰かに相談しなさい”――と。
自分の狭い視点の思い込みだけで解決しようとしたら、大概ろくなことにならない。
だから、当事者が居るなら当事者同士で話し合うのが一番の近道よ。わかってる?」