クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「昨夜、駅前の居酒屋で加藤と二人きりで会っただろう。 しらを切るつもりか?」
「……それは」
淡々とした声で問いかけてくる。今はそれがなんとなく恐ろしくて言葉に詰まる。
だいたい、加藤さんと会ったのはあなたとのことを確かめるためだった、なんて。言えるはずもない。ただのペットのクセにでしゃばり過ぎと思われるのがオチだ。
いいよどむ私に痺れを切らしたか、葛城さんは私の腕を掴むとそのまま引きずるように家に上がらされ、階段を上がるでなく向かった先は私に宛がわれた部屋。
隅にあるシングルベッドに放り投げられ、困惑する間に葛城さんがのし掛かってくる。両手を纏めて拘束されて、何をされるのかようやく察した私は必死で抵抗をした。
「だ、駄目……やめてください!」
きょうだいかもしれないのに、こんなことはいけない。絶対に! そう思うのに、葛城さんは無表情でこう言い放つ。
「本当に何も無かったか、身体に訊いてやるさ」
「な……何もありませんし、してませんッ……んんっ!」
唇を塞がれ、下唇に噛みつかれた。
「なら、これはなんだ?」
葛城さんが手にしたものをひらひらと振る。それは、物件の見取図や賃貸情報が印刷されたもの。
「ここを出て男を連れ込むため、だろう? オレのアパートでは都合が悪くなったか?」
「ち、違います!」
ちゃんと、話さないと。葛城さんは誤解してる。私はもう大丈夫だから、自分の意思で出ていくんだって……きちんと説明して。すっきりと終わらせなきゃ。そう思ってた。