クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~



そうだ。

加藤さんも三辺さんも言ってくれた。葛城さんとちゃんと話しなさいって。

私も思い込みだけでなく、きちんと自分の気持ちをぶつけよう。勇気を奮い起こして……そう決意をした。


「葛城さん、待って! お願いですから私の話を……」

「何を、話す? おまえはオレのものと、何度言えばわかる!?」


いつになく怒気を孕んだ瞳で射抜かれ、恐ろしさから身体がすくむ。私が動きを止めたことをいいことに、葛城さんの手が慣れた様子で私を暴こうと動く。


彼との時間は数えきれないほどあった。だから、彼は私を知りつくしていて、熱に流されそうになる。溶けそうに甘い濃密な時間に、すべてをもっていかれそうになる。


けれど……


(――どうして?)


明らかに怒り我を失って見えるのに……


葛城さんの瞳の奥には、なぜか切なさが揺れていた。


まるで、こうしていても苦しんでいるような――。


何だかもがきながら、救いを求めているように感じて。私は思わず彼に手を伸ばしてその髪に指を差し入れる。


その刹那。葛城さんの瞳が見開かれた。


「……ごめんなさい」


私の口から、自然にことばがこぼれる。


「遅くなってたのは三辺さんと会ってたからです。加藤さんと会ったのもやましいことは何もありません、から」


安心して欲しくて、彼に向かって微笑んだ。


「ごめんなさい、不安にさせて。あなたのペットなのに……」

「……っ」


どうして、だろう?


一瞬――葛城さんは、泣きそうな顔をした。


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