クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「私は、あの雨の日に拾っていただいて……とてもとてもたくさんのものをいただいてきました。
あなたがそばにいてくれるのを許してくれたから、私は生きる方法を見つけることができたんです」
「……夕夏」
「……もう、大丈夫です。私は保護されなくても、独りでも生きられます。だから……
あなたは、本当に必要なひとを……愛するひとを迎えてください」
「……っ」
もうアパートを見つけているから、来週には出ていくと告げただけ。なのに、葛城さんは目をきつく閉じ、私に触れた手が微かに震えてた。
「……葛城さん。あなたが私を必要としても、それはチョコと同じですよね?
大丈夫です。あなたをきちんと見て愛するひとはいます。あの真理さんのように……」
「……それは」
葛城さんが目を開いて困惑顔をした。まるで、道に迷った子どものように……不安げで、怖さを必死に押さえているような。
けれど数秒間躊躇いを見せた瞳は、強い光を宿して私を見据えてきた。
「桜井の女のことは、本心からじゃない。オレの婚約を目論む実家の差し金だ。桜井の娘とどうこうなるつもりはまったくないし、女には金輪際関わるなと告げておいた」
冷たさを感じるほどきっぱりと葛城さんは言い切った。