クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「……そうね、あなたがそう言うならきっとそうなのでしょう」
三辺さんがそう言って微笑んでくれた後、そっとお腹に手を当てる。
「私も……この子にはしあわせになって欲しいもの。従姉の千夏さんのように強くなれるかはわからないけれど……この子のためなら、出来ることはなんでもするでしょうね」
「三辺さん……」
三辺さんまでがお母さんを認めてくれて、私まで涙があふれてきた。そっと差し出されたハンカチをお礼を言って受け取り、涙をぬぐう。
「そう……千夏はしあわせだったのね……それを聞けただけでも……よかったわ……」
でも、と曾おばあさまは顔上げる。
「千夏はあなたを遺してくれた……だから、あなたに償いたいの。よかったら如月家に養女として迎えたいのだけれど……」
「そうね。如月家に入ればいろいろと可能性が広がるわ。夕夏さんはまだ若いのに勉強家だから、大学に入って専門的に学ぶことも出来るわよ?」
「え……」
曾おばあさまの提案に三辺さんが付け加えてくる。想像だにしなかった話に、ただただ呆然と目を瞬くしかなかった。
大学なんて行きたくてもとても無理だった。頼れる人がいなくて生きるだけで精一杯だったから、そんな余裕なんてなくて。ただ憧れで最初から諦めてた。
大学に行くなら商学部で役立つ資格を取りたい…オシャレして友達や恋人を、なんて。でも結局夢物語とあきらめて。
如月家に入れば確かにその夢はあっさり叶う。あくせく働かなくても済むんだろうな。