クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
それに、何より。
桜井の分家である葛城家次男の葛城さんと釣り合う身分になれる……?
それはひどく魅力的な提案で、心が激しく揺らぐのを感じた。
だけど……。
私は、しばらく考えた末にゆっくりと首を横に振った。
「お話、とてもありがたく思います。でも……申し訳ありません。私は、もう自分の生きたい道を決めました。独りでもきちんと生きられます。ですから……ごめんなさい」
ゆっくりと頭を下げた私に、曾おばあさまは小さく息を吐いてそうね、と呟いた。
「今まで他人と思ってた人間に急にそう言われても困るわよね。それに、結花(ゆか)からいろいろ聞いてますが、あなたがとても頑張ってることは知ってますからね。あなたがそう決めたのならば、わたくしが出来ることはなさそうね……」
出来れば千夏の代わりにしあわせになって欲しかった、と寂しそうにおっしゃる姿に……ついつい私はおばあさまの手を取った。
「いえ、あの……おばあさま。私はおばあさまと逢えて嬉しいです。また、お会いしていいですか?」
「まあ……夕夏さん。こんなわたくしでもおばあさまと呼んで下さるの?
ええ、ええ。もちろん喜んで。他にも、わたくしが出来ることならなんでもおっしゃって」
曾おばあさまが涙を流して喜ぶものだから、厚かましいと思いつつも本来の目的を告げると。彼女は目を丸くしながらも快諾してくれて、ほっと胸を撫でおろした。