クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「……すまなかった。みっともない姿を晒してしまった」
勇人さんがようやく落ち着きを取り戻した様子でほっとした。
「いえ……こちらこそ、いろいろと不躾に申し訳ありません」
まだ話があるのか、庭園をゆっくりと歩きながら勇人さんは池のそばに立つ。近くにはあの離れがあって、濡れ縁から上がる縁側の雨戸はぴったり閉まったまま。
「家族に目を向けろ……あなたに指摘され、今更ながらに目が覚めた思いです。
今まで私は仕事を理由に逃げてきました。
浮気は千夏を最後に金輪際しないと誓いましたし、もう親しい女性もいませんが。あれから15年経った今でも。家へ帰るのは多くて週に一度。集まりで顔を合わせても話しもろくにしなかった。
妻の弥生が好きにすればいいと……詫びのつもりで放ってきたが……ただ単に逃げていただけと。また妻や家族に甘えていただけと気付かされました」
そして、と勇人さんは一旦切った言葉を継ぐ。
「智基のことも。申し訳ないと思いつつ、どう思われているのか知るのが怖くて遠ざけてしまった。
勝手な思い込みで突き放し、あまつさえ親らしいことは何一つしてこなかった。
きっと嫌われ憎まれ疎まれているでしょうな……」
寂しそうだけど、諦めたように呟いた。
「それも仕方ありません……本当に、私はあいつにひどいことをしてきた。それなのに気になって調べたり……どうしようもない男です、私は」