クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
もう一度勇人さんが項垂れた時、砂利を踏む足音が聞こえて振り向こうとした刹那――グイッと腕を掴まれ体が後ろに引っ張られる。そして、私の前に大きな体が立ちはだかった。
「……今さら、何の用だ?」
低い低い声は、葛城さんのもので。どうして彼がここにいるのか、と頭の中に疑問が浮かぶ。
葛城さんは私を庇うように立っていて、勇人さんがまったく見えない。その背中は警戒と緊張に満ちていて、怖いくらいにピリピリした空気を纏ってる。
今までこれだけ厳しさを露にした彼を見たことがなくて、思わず後ずさりたくなる。けど、と私は彼から離れまいと足を踏みしめた。
「なぜ、夕夏を呼びつけた。 答えろ!! まさか……愛人にするつもりか!」
「違う!」
だんだんとヒートアップする葛城さんの怒声に、反射的に反論したのは私だった。
「お会いしたいと思って、ご迷惑を顧みずに押し掛けたのは、私です」
すると、一瞬呆気に取られたからか葛城さんの怒りが和らぐ。
「……なんだと?」
「私がお会いしたかったのです、勇人さんと弥生さんや……葛城さんのご家族に」
「…………」
あまりに予想外だったのか、葛城さんは体ごと私に向き合った。
「……おまえが、なぜ俺の……? そんな理由がどこに」
「……理由は……私の身勝手な感情ですが……あなたに……しあわせになってもらいたいからです」
もう一度、あの時と同じ言葉を繰り返した。