クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
また、醜い感情が噴き出してきた。
ついさっき露にした気持ちは胸で未だに燻っていて、優しくされればされるだけ辛くなり再び爆発してしまったんだ。
「……あなたは私をペットだと言い続けてきた。そばに居られるなら、それでもいいと思って……ずっと耐えてきました。
でも、もう嫌なんです! あなたのペットでいるのが……」
これでお別れと言われてもいい覚悟で、自分の気持ちを思いきりぶつけた。
きっと、わがままで身の程知らずと呆れられるだろう。けれど、どうせ終わるなら何も言わず後悔するよりちゃんと伝えておきたかった。 最初で最後だから。
「……私、私は……あなたが好きなんです。なのに……あなたが違う女性としあわせになるのをそばで見ていろなんて……できるわけないじゃないですか。どうして……そんなに残酷なことを言えるんですか。
今だって……辛すぎるのに」
ぽろぽろと落ちる涙が、頬を濡らす。そこに、そっと指をやった葛城さんが、信じられないことを呟いた。
「……よかった」
“よかった”!?
一体何がよかったのか、とあっけにとられた後。ゆっくりと頭に血が昇る。まるで、こちらが苦しんでいるのを知って……怒りが湧いた勢いで、キッと顔を上げる。
そして見たのは、嬉しそうに笑う葛城さんの顔。
あまりの無神経さに怒りが募り、抗議しようと口を開いた私の耳に――更に信じられない言葉が届いた。
「……そこまで、おれを想ってくれてたんだな」