クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
ふ、と動く気配を感じてすぐに私の片手に大きな手のひらが重ねられた。
「おれにとって三辺は、今はただの部下だ」
「…………」
気のせいではなく、葛城さんの指が私の指にからめられる。そして、ギュッと握りしめられた。
「今は、信じろと言われても難しいだろう。だが、これからのおれをずっと見ていてくれ。必ず、信じさせてみせる」
「……葛城さん」
恐々顔を上げると、葛城さんは私をまっすぐに見てた。その強い視線は揺るぎない強い意思を宿していて……射抜かれた瞬間、体が痺れたように動かなくなった。
“おれを、信じろ”と。その瞳は何よりも雄弁に語ってる。
葛城さんは、嘘なんて言わない。その場しのぎの誤魔化しや偽りなんて、一切したことはなかった。
だから……。
嬉しかった。そんなことを言ってもらえたなんて夢のようで。
でも、それでも。彼の言葉に素直に頷くことはできなくて。私はまたも俯いた。
「……でも……」
「なんだ? 思う通りに話してみろ。なんだって聞いてやる」
それだけ優しい言葉をかけられても、自分の立場を思うと涙しか出なかった。
「やっぱり……ダメです! わ、私は……あなたのペットに過ぎないんですよね? だったら……そんなに優しくしないでください。期待させないでください!!」
重ねられた手を振り払おうとしたけれど、がっちりと掴まれて離れなかった。