クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
気まずくて重苦しい空気が続き、私はひたすら俯くしかない。今の葛城さんは言葉を出さないぶん、かなり怒りを堪えていると解るから。
彼は怒りが深くなるほど沈黙が長くなり、吐き出される言葉が辛辣になっていくんだ。
はぁ、と大きなため息が聞こえて体が揺れる。
カタン、とテーブルに湯飲みが置かれたのが視界の端に見えた。
「……もういい」
「……っ」
その諦めを含んだような静かな声は、明らかに何かを振り切ったような。そんな潔さを感じた。
(葛城さんが私を見限った……?)
まるで、すべてが終わってしまうような怖さを感じて、私は膝の上に置いた手のひらを思いっきり握りしめた。
(……結局、私のお節介は一方的なものだった……)
何の障害もなくしあわせになって欲しくて、ただただがむしゃらに行動した。もっと彼のことを考えて理解してから……最善の方法を採るべきだったのに。
考えなしに行動してこの結果……ただ、好きな人をより深く傷つけただけ。
後悔と懺悔の気持ちが、私の胸をひたひたと侵食していく。
「ごめん……なさい」
ぽとり、と手のひらに涙が落ちた。
「ごめんなさい……本当に、ごめんなさい! 私……なんてことを……どうやってお詫びすれば……」
泣きたくないのに、次々と溢れる涙が邪魔をして上手く言葉が紡げない。
だけど……
もっと言葉を失う出来事が起きた。