クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~





「再婚……勇人さんと母が……」


葛城家を訪れた時には、勇人さんが“きちんと責任を取るつもりだった”と話してくれた。それが……結婚の話だったんだ。


今、真実を聞かされてなおのこと複雑な気持ちになる。


母が勇人さんとしあわせになる道はあった……でも。それは正妻だった弥生さんや子どもさんたちを不幸にして成り立つこと。結果的にそうならなかったとはいえ、どちらがいいかなんて私には軽く言えなかった。


それでも……葛城さんは。


「千夏さんのような母が欲しいと……おまえのように抱きしめられ、頭を撫でてもらいたかった。手作りの菓子を食べて一本のジュースをわけあう……金額の問題じゃない。そのあたたかさと愛情と優しさが……羨ましかったんだ。
もちろんおれはもう高校生だったから、そんな幼子のような要求は現実に不可能だ。
だから……父に頼んで一枚だけ写真を譲ってもらったんだ」


ただ……ただ愛情が欲しかった。そう呟く彼は……幼子よりも頼りなく小さく見えた。


……だから、私は。


無意識のうちに、そっと彼を抱きしめた。


「おれは……愛情がわからない人間だ。まともに受けたことが無いから……返し方がわからない……」


自然と、彼は私の肩に顔を預ける。甘えてくる大きな犬のように思えて、ゆっくりゆっくりとその髪を撫でながら思う。


……急いで結論を出してはいけないんだ、と。


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