クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「……おまえが気持ちを伝えてくれて、最初は信じられない気持ちが強かったんだ」
そっと頬に触れてきた指が、ゆっくりとそこを撫でてくれる。
「おれは……心の底から誰かを愛したことはなかったし、誰かに愛されたこともない。
おまえはおれが三辺を愛してると誤解していたようだが……
三辺は“彼女”に似ていたから……おそらくそのせいで、執着してしまっていたのだと思う」
「“彼女”……もしかして……それって……」
逸る気持ちを必死に抑えながら、私は葛城さんを見上げた。彼は、切ないような眼差しで肯定をする。
「……ああ。おまえもおそらく見たはずだ。おれの部屋にあった、千夏(ちか)さんの写真を……」
「…………」
不用意にとは言うものの、勝手に見てしまった罪悪感から肯定は憚られた。でも、それには構わずに葛城さんが真実を告白する。
「……実は、おまえとおれは……子どもの頃に一度逢っていたんだ」
「……そう、だったんですか?」
信じられない話に目を瞬くと、彼は頷いて瞼を伏せる。
「……おれはもう高校生だったが……父はおれを連れて千夏さんとおまえを見せたんだ。
“彼女達が新しい母親と妹になったら嬉しいか?”――と。
父は、母と離婚して千夏さんと再婚を考えていたようだった。
その日はまだ逢わせられないから……と。近くから見るだけだったが。千夏さんは娘を……おまえを本当に優しく見守って。愉しそうなおまえたちに……はじめて羨ましいと……憧れの気持ちを抱いたんだ」