クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~






30分だけ仮眠を取れば少しだけすっきりして、午後の仕事に精を出すことが出来た。後輩さんがやたらと私から仕事を任されようとしたから、理由を訊けば「葛城課長から加納さんが体調不良だからと聞いたんで」とのことだった。


確かに、葛城課長は富永先輩や三辺さんが体調不良の時もかなり気遣いしてたけど……。


「ありがとう。でも、仮眠を取ったらかなり楽になりましたから。こちらは私が処理しておきますね」


折しも今日は金曜日。恋人がいるという彼女に、残業なんてさせられない。


遠距離恋愛をしている彼女は、月に一度第4金曜日の夜から日曜日まで。それだけの間が恋人と過ごすことが出来る唯一の時間。だから、今日だけは絶対に定時で帰らせてあげたい。そう思って、多い量の仕事をさりげなく取り戻した。


(頑張ろう……私が頑張れば、葛城さんも彼女も残業なく帰れる)


資料を渡された時――彼女の左手の薬指に銀色に輝く指輪を見てしまったけど。極力視界に入れない様にした。


3月に婚約したばかりの彼女は、彼が戻ってきた秋に挙式予定なんです……としあわせそうに教えてくれた。


チクリ、と感じる寂しい気持ちとうらやましい気持ち。三辺さんや富永先輩の時も感じた……みんなから取り残されたような……。


(いけない、いけない! 私は自分で選んだんだ。葛城さんのしあわせを見守るって……そう決めたんだから)


うじうじしている暇があるなら、その分仕事に集中! とピシャリと自分を叱りつけて、パソコンのディスプレイを睨み付けた。
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