クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
仕事が無事に定時で終わって急いで職場を出ようとした私を、葛城課長が「送る」と言うから、押し問答の末に渋々車に乗り込んだ。
「あら、あらあらあらあら~」
目的地のカフェまで着いてきた葛城さんを見た人たちの反応は様々で。私は穴があったら入りたいくらい恥ずかしかった。
「夕夏、まだ夜は冷えるからこれを着ておけ。それから飲むものは温かいものにして、急がずゆっくり飲めよ」
私の為にと車にはいつも上着やいろんなものが用意してある。カーディガンとストールで私を保温をした葛城さんは、あれこれとアドバイスまでしてきた。
「智基、過保護っぷりに拍車がかかったようね」
オープンテラスで苦笑いを浮かべる旧姓·三辺の結花さんに、私は「はぁ……」と項垂れるしかない。
「外の席ではイスが冷えてるだろう。中に移動しないか?」
「か、葛城さん! そこまでする必要はありません……というか、もう帰っていただいて良いですってば」
「そうか……なら仕方ないが、本当に気をつけろよ? おまえは体調が万全ではないのだからな」
しゅん、と尻尾を垂らした大型犬みたいな葛城さんを見た富永先輩……もとい。伊藤さんが目を丸くした。
「え……え~! これが、あのコールドマン·葛城課長? うっそ~同じ姿をした別人じゃないの!?」
彼女のすっとんきょうな叫び声に、葛城さんは「伊藤、うるさいぞ」と顔をしかめた。
「夕夏はこのところあまり体調がよくなさそうだが、今日の為に無理を押して仕事をこなしてた。よかったら注意深く様子を見てやってくれ」
じゃあ邪魔したな、と言いながら葛城さんはカフェから立ち去る……前に。帰りは必ず迎えに来るから連絡するように、としっかり確約させられましたが。