クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
コトンと机に置かれたものは、カフェオレとサンドイッチ。ハッと顔を上げれば、ディスプレイの向こうで加藤さんがニコッと笑う。そんな彼にありがとうございます、と小さくお礼をいった。
「頑張るねえ、加納ちゃん。でも、あんまり根詰めるの良くないよ?」
「あ、はい。でも……ミスをした自分がいけませんから。せめてこれくらいは」
「でも、もナシ。その資料、君が頼まれたやつだったっけ?違うだろ」
トントン、と加藤さんが指先で叩いた水色のファイルは、確かに他の先輩社員に用事があるから、と頼まれたもの。それにしてもなぜ判ったんだろう、とちょっとだけ不思議になった。
「あの……どうして?」
「ヒミツ。けど、ひどいよねえ。自分がクリスマスデートの相手を捜すための合コンの為に新人を利用しまくるなんてさ~」
ニコニコ笑顔でなぜそんなことを知ってるの? とツッコミたくなる言葉を吐く。けど、彼の言動に刺々しさはなくて、ホッと息を吐いた。
「仕方ありませんよ。私には何の用事もありませんし……逆に早く仕事に慣れたいので、回していただいてありがたいくらいです」
「はは、真面目だねえ加納ちゃんは」
朗らかに笑った加藤さんは、コンビニの袋を持って次へ向かう。その先に葛城課長の姿を見つけて、ドキッと心臓が跳ねた。
「お疲れさまで~す! 課長はハムサンドとコーンポタージュでしたね?」
「ああ、ありがとう」
ニコリとも笑わずに、それでも一応加藤さんに目を向けた葛城課長は、いつもと変わらない口調でお礼を返してた。