クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~

雨に紛れてキュウン、とか細い鳴き声が微かに聞こえた気がした。気になって見ると、茶色い毛を持つ小さな小さな子犬がゴミ箱のそばで震えてた。


「…………」


全身ずぶ濡れの仔犬はキュウンキュウンと鼻を鳴らして、お母さんを呼んでる。けれど、当然保護する人も親犬が来ることもなく、小さな身体がますます小さく震えてた。


(駄目……可哀想だけど、私だって明日もしれない身の上なんだ。同情したって……)


目を背けて見ないようにと努力してみた。けれども、か細い不安そうな鳴き声がだんだんと小さくなるのを聞いていると、たまらない。鳴き声が消えてもしかしてと振り返れば、案の定仔犬はぐったりとその場にうずくまってた。


「た、大変!」


慌てて仔犬のそばに駆け寄ろうとした瞬間、またもヒールが地面を滑ってその場で転んだ。水溜まりに顔ごと突っ込み、おまけに鼻を打って痛い。けれども、今はそれどころじゃない! と自分を叱りつけて立ち上がる。


そっと仔犬を持ち上げると、まだ両手に載るくらいの大きさしかない。こんなに小さかったんだ……と涙が出そうになりながら、仔犬を胸元でそっと抱きしめる。少しでも暖まって欲しいと願いながら、なるべく雨を避けてコンビニの壁を背にその場でしゃがみこんだ。

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