クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~


「仔犬……ですか」

「それ以外に用事などあるのか?」


反射的に出た呟きに、あくまでも冷静な声が返ってくる。それはそうだ、と納得するしかない。


私はスーツを身につけている以上、普通の社会人にしか見えないだろう。こんなに夜遅くまで働いている人ならば、わざわざ見知らぬ他人に時間を割くのも惜しいに違いない。


(だけど、仔犬を気にしてくれた……他のみんなは知らないふりばかりだったのに)


深夜のコンビニで弱った仔犬をわざわざ気にかけて下さるだけでも、十分に優しい。見た目は生真面目でお堅そうだけど、案外愛情深い人なのかも。


(私じゃとても助けてあげられない……)


震える仔犬はさっきより体温が戻ってきているけれど、このままだと厳しい状況には違いない。とても軽くて小さい体だけど、必死に生きようとしている。仔犬のことを考えれば、唯一の選択はそれしかなかった。


「あの……そこのゴミ箱のそばでずっと鳴いてたみたいなんですが、誰も引き取りに来ないし母犬も来ないんです。このままだと衰弱して危険なので……すみませんがお願いしていいでしょうか?」

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