クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
それが乾いてるタオルだと解った私は、まず先に仔犬の濡れた身体を拭いた。それからもう一枚渡されたタオルで仔犬をくるむ。これで多少はましなはず、とほっと息を吐いた。
「あ、ありがとうございます。お陰で助かりました。あの……いつか洗ってお返ししますから」
「………」
「……あの?」
一度頭を下げてお礼を言っても、男性からは何の反応もなくて不思議に思いながら顔を上げると。なぜか彼の眉間に僅かながらシワが寄っていたから、まさか機嫌を損ねたかと慌てた。
「すみません! コンビニで新しいタオルを買ってお返ししたいのは山々なのですが……その……お金が」
そこで、泥まみれのビニール袋に入ったパンとミネラルウォーターの存在を思い出す。これを返品すれば多少お金は戻ってくる。コンビニで売ってるタオル代になるかな? と不安に思いながら恐々彼を見ていると、大きくため息を着いた男性は、眉間に人差し指を当てた。
「……心配するのはそこか?」
やや低めの硬い声を聞いた瞬間、あれ? と引っ掛かりを感じた。
(この声……聞いたことがあるような? ううん、まさかね)
前に働いていたのは小さな商店だった。こんなエリートビジネスマン風のお客さんが来るようなお店でないし、知り合いようがない。きっと気のせいだ……と思う。