クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~



「憶えてます。だけど……私は……」


震えそうになる声と膝を必死に抑えて、指が白くなるほど強く強く両手を握りしめる。頑張れ! と自分を叱咤激励して、言葉を絞り出した。


「私はただ、あなたが心配なんです! ただ、それだけ。他に理由や他意なんてありません」


余計な勘繰りをされないためにも、キッパリと自分の気持ちを言い切っておいた。


「もしも私が鬱陶しくて嫌になったなら、私はすぐ出ていきます。でも、それならきちんと食事をして睡眠も取ってください。私も出来ることはそうありませんが……やれそうなことはお手伝いしますから。お願いします、もっと自分を大切にして、ください……」


ぽろり、と溢れた涙を慌てて手のひらで拭う。泣き落としなんて思われたくない。


「私も、言いましたよね? 一人で思い詰めないでください、って。あなたは……もっと周りを見るべきです。少なくとも一人は……あなたを心配する人間がいるんです」


三辺さんのことまでは言えなかった。私が口にするのはおこがましい気がして。だから、自分だけでも気にかけてますと解って欲しかった。


「…………」


葛城課長は黙ったままで何も言ってくれない。重苦しい沈黙が辺りに満ちていて、じっとりと滲んだ汗が頬を伝う。


緊張したまま息を詰めて待っていると、ガサッとビニール袋の音が立つ。恐る恐る見れば、のど飴と野菜ジュースを取り出し残りは差し出された。


「ミーティングは定時五分前に行うから、その時間までに戻ってきなさい」

「は、はい!」


受け取ってもらえた。その事実が嬉しくて、涙をこらえながら休憩室に急ぎひっそりと涙を流した。


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