漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
光が生まれた。
まばゆい光。神々しく美しいそれはアンバーから発され、子どもの身体をも包みこんだ。やさしく慈しむように。
やがて、子どもの目がうっすらとひらいた。


『…あったかい…』


子どもはアンバーを見つめ、安堵したように目を細めてつぶやいた。


『お姉ちゃんの光、すごくあったかい』


その時、どこからか声が聞こえた。





<ようやく目覚めましたね。『聖乙女』よ。さぁ、『力』を解き放つのです>





穏やかで落ち着きがあり、それでいて女性とも男性ともつかぬ、神秘的な声。


(力…?私にはそんなものは…)


<『力』はおまえの中にたしかにあります。私はいつも見守っています。おまえとおまえが生み出す『力』を>


急激な倦怠感に襲われ中、アンバーは意識を遠のかせた。


『『聖乙女』さま…!!』

『ついに次の『聖乙女』さまが現れたぞ!!』


意識を手放す瞬間に聞いたのは、割れんばかりの歓声と高揚に満ちた人々の声だった。





< 79 / 128 >

この作品をシェア

pagetop