次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
駿介が私を家族として単なる秘書以上に、過保護なまでに大切にしてくれているのを、幸恵さんも勿論知っている。

「それはそうですけど‥‥‥でも、長期的にみたら、それが一番の解決策なんじゃないかって」


実はパーティの後から私の携帯に敏彦さんから連絡がきているのだ。どこで番号やらアドレスを手に入れたのか分からないが、毎日のように食事や観劇の誘いが入る。

断るのも面倒で着信は勿論、留守電もメールも無視していたら、今朝は佑のアルバイトを出来なくさせると、脅すような内容になった。



「でもいきなりお見合いなんて、ホントに?」

幸恵さんの心配はありがたいが、岡崎取締役の紹介で付き合っている人がいるとなれば、敏彦さんも無茶な事はしないだろう。それに駿介が夏希さんといずれ結婚するなら、私も誰かと付き合っていた方がショックが少なくて済むかもしれない。

「はい。岡崎取締役に頼んでもらえませんか?」

「いいけど。‥‥でもやっぱり私は気がすすまないな。ね、その前に駿介さんとちゃんとお話しして。それでもやっぱりってなったら、岡崎取締役にお願いするから。ね?」

「ーーーはい」
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