次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
心の底からの深いため息をついて、仕方なく受話器を取った。

電話の相手は槇村秘書室長。駿介と大介父さんが出席している打ち合わせに付いて行っている彼に終了時間を尋ねると、かなり押しているとの事。

「お食事の約束がある事はお聞きしていますよ。駿介さんも早めに終わらせると意気込んでおられたのですが、少し紛糾していて」

「そうですか。では昼休みに所用を片付けるために外出するとお伝え願えますか?急ぎの用件が出来てしまって」

「了解しました。‥‥こんな事を言ってはなんですが、正直、ほっとしましたよ。蔵本さんの都合で食事がキャンセルになるなら、駿介さんも納得出来るまで打ち合わせなさるでしょう」

苦笑交じりの槇村さんに、思わず「申し訳ありません」と見えないのに頭を下げた。きっと駿介は私とランチに行く時間を考えて、イライラしながら打ち合わせに臨んでいるんだ。

困ったと思う反面、そんなに私との約束を大切にしてくれているのかと、不謹慎にも笑みが浮かびそうになった。

「午後の始業には戻りますので。よろしくお願いします」

電話を切った後、もう一度大きなため息をついて、腕時計を見た。
そろそろお昼休憩の時間だ。

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