次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「まぁ、すっごいわね。さすが、秘書さんは時間も正確だわ」

休憩に入った五分後、指定されたカフェで、私は睦子叔母のいつもの口癖に出迎えられた。

会社から徒歩三分のその店は、一本細い路地に入った場所にあるからか、値段設定がOLには高めだからか、会社員がランチに使う事は少ない。店自体もゆっくりと食事やお茶を楽しむ人をターゲットにしているのだろう。

「お待たせして、申し訳ありません」

「いいのよ。お仕事ですものね。それより何を注文する?お昼、まだでしょう?」

向かいの席に座るように促した睦子叔母がメニューを開いてランチのページをみせてくれる。

「ありがとうございます。ですが、早く戻らないといけないので、お茶だけで」

お水とおしぼりを運んできた店員さんにコーヒーを頼むと、背筋を伸ばして座り直した。どんな話であれ、長居して良い事はない。敏彦さんの話が出る前に帰るためにも、本題の佑の事だけさっさと聞いて、この場を終わらせるつもりだ。

そんな私の態度に、睦子叔母もすっと目を眇めた。

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