次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「お時間ないみたいだから、早速お話しましょうか」

「はい。佑の事だとお伺いしましたが」

「ええ、そう。佑さんが國井化学でお仕事が出来る為に文香さんにちょっとお願いがあって。大丈夫、そんな難しいことじゃないの」

「私、ですか?」

佑のアルバイトと私との関連は思い浮かばないが、昨日の敏彦さんからの脅しめいたメールを思い出して、思わず眉をひそめた。

「先日のパーティで、敏彦さんがあなたを気に入ったらしいの。ね、すっごいわね。文香さん、上手くすれば國井になれるのよ?」

同じ國井一族でも名字の違う傍流は一族とは認めていない、選民意識の強い睦子叔母らしい発言に苦い思いが広がるが、今気にすべきはそこじゃない。

「すみません、お話がみえないのですが」

「あらあら、秘書さんなのに理解能力が低いなんてたーいへんだわ。簡単な話よ?
文香さんが敏彦さんの求婚を受け入れたら、佑さんのお仕事は将来的な事も含めて、私達がちゃんとしてあげるって事」

付き合うではなく、いきなり結婚とは。飛躍しすぎた話に言葉が出なくなった。
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