次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
大学生になるタイミングで本家を出た私にある日、「兄と呼ぶな」と駿介は言った。
「兄」と呼ばなくなってしまうと気持ちのフタが開いてしまいそうで抵抗したけれど、駿介に敵う訳もなくて。結局、説得されてしまった。
その時、困惑する私を気遣って涼介君は「君付けで呼んで」って言ってくれたのに駿介は呼び捨て以外はダメだと譲らなかった。
そんな親密そうな呼び方したくなかったのに。
でもイヤだとゴネたら、駿介が「大体、大学生になるからって家を出るのもおかしいんだ」とか散々揉めた話を蒸し返し出すから、もぅ仕方なくって。
でもやっぱりちょっと後悔してる。あのまま「駿兄さん」って呼んでたら、今よりは気持ちは育たなかったんじゃないかって。
駿介って呼んで、こうやって親しげに話すだけでも毎日、好意は積もってしまうから。
でもそれを言うならこの会社に就職した事も間違いだったと思う。あの時は当主で社長なくせに、仔犬みたいな目で大介父さんがお願いしてきたから‥‥。
こう考えると私、國井の男に弱過ぎるんじゃないだろうか。今度耀子母さんに上手いあしらい方を教えてもらうべきだな。
「兄」と呼ばなくなってしまうと気持ちのフタが開いてしまいそうで抵抗したけれど、駿介に敵う訳もなくて。結局、説得されてしまった。
その時、困惑する私を気遣って涼介君は「君付けで呼んで」って言ってくれたのに駿介は呼び捨て以外はダメだと譲らなかった。
そんな親密そうな呼び方したくなかったのに。
でもイヤだとゴネたら、駿介が「大体、大学生になるからって家を出るのもおかしいんだ」とか散々揉めた話を蒸し返し出すから、もぅ仕方なくって。
でもやっぱりちょっと後悔してる。あのまま「駿兄さん」って呼んでたら、今よりは気持ちは育たなかったんじゃないかって。
駿介って呼んで、こうやって親しげに話すだけでも毎日、好意は積もってしまうから。
でもそれを言うならこの会社に就職した事も間違いだったと思う。あの時は当主で社長なくせに、仔犬みたいな目で大介父さんがお願いしてきたから‥‥。
こう考えると私、國井の男に弱過ぎるんじゃないだろうか。今度耀子母さんに上手いあしらい方を教えてもらうべきだな。