次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「とにかく!俺と距離を取ろうとするのは認めない。それと今日の昼は一緒に食うからな」

「あ、ダメ。お昼はミナトと約束してるの」

「ーーまたミナトか」

駿介はミナトの名前を出すと凄く苦い顔をする。その理由は分かってるけど、あえてその誤解は解いていない。

「長いよな、ミナト」

「うん、高校の時からだから10年とか?」

「そんな長いならいい加減紹介しろ。文香の相手なら蔵本のご両親はもちろん、うちの親にだって紹介するべきだろう」

「そんな相手じゃないもの。じゃあ、用事ないならもう行くね」

納得してない駿介を見ないようにして話を変えると、ふいに静かなトーンで聞かれた。

「なぁ、俺の事嫌いか?」

「そんな訳ないじゃない。好きに決まってる」

にこりと微笑んでからパタンと扉を閉じて、扉の前でふぅーと息を吐いて気持ちを落ち着かせてた。



大丈夫。まだ閉じ込めておける。
まだこの想いは沈めておける。
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