次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
そのまま秘書室に戻ったけれど、大好きなはずの朝の時間を楽しむ事はできなかった。


⌘ ⌘ ⌘

昼休みになってもイマイチ気分も調子も上がらなくて、ミナトとの待ち合わせにも低いテンションのまま向かう。

「何、そのブサイクヅラ。折角のランチなんだからもうちょっと嬉しそうにしたら?」

艶やかな黒髪を前髪長めのショートカットにして、グレーのパンツスーツをすっきりと着こなした姿のミナトは相変わらずモデルのようだ。

「ごめん、ちょっと朝に凹む事があったのよ」

「どうせまた、殿のせいなんでしょ?ほんっと、文香は成長しないわね」

ハッキリ過ぎる物言いはナカナカに厳しいけれど、これが彼女の通常運転。
そう、ミナトは本名を柏木湊というれっきとした女性。高校からの友人だ。

ただ、170近い身長とすらりとしたスタイルと、その髪型から遠目から見ると男性にも見える。昔から誤解される事は多かったし、駿介も間違いなくミナトを男性だと勘違いしてる。ついでに彼氏だと思ってる。

その誤解はあえて解いてないけど。
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