次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「それとも朝に話した予定の方がいいとか?」

しゅんとした私を見て強く言い過ぎたと思ったのか、駿介が空気を変えるからかうような口調で聞いて来た。

「それはない!」

ばっと顔を上げて、それだけはハッキリと否定した。

朝に駿介が言い出したスケジュールは私には苦行でしかない。それを知っている駿介から、ミナトの名前を出した私への嫌がらせだ。

「そんな嫌がらなくてもいいだろう」

完全に面白がっている駿介だって、本当は乗り気じゃないくせに!

「駿介さんがそんなに座禅がお好きとは知りませんでした。是非、社長にもご住職にもお伝えしておかないと。あぁ、そうですね!今から電話でも‥‥」

「い、いや!それはしなくていい!‥‥あー、今日行く事もまだ知らせてはないよな?」

焦った後にバツが悪そうに付け足した駿介を見れば、私の予想は大当たりだ。

「ええ、まだきちんとスケジュールの確認もしておりませんでしたから。急いでご連絡しなくて正解でした」
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