次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
タクシーで連れてこられたのはお店じゃなくて、夏希さんのお部屋だった。

「向こうから帰って来て借りた部屋だからまだ全然片付いてなくて。ごめんねー。でもうちなら、そのまま寝ちゃっても大丈夫だし。それに泣いちゃっても誰にも迷惑かけないでしょ?」

途中にコンビニで買ったお酒やおつまみをリビングのローテーブルに並べながら、夏希さんが座るように勧めてくれる。

「泣いちゃうような話もしてもらえるんですか?」

「フフッ、そうね。年取って涙腺ゆるくなっちゃったから、過去の話なんてしたらきっと泣いちゃうかな」

「それって恋の話ですか?」

「さぁーね。でも恋バナしない女子会なんてありえないでしょ!話すのも聞くのも大好きだから、覚悟してねー」


夏希さんのサバサバした性格のおかげか、タクシーの中で沢山話したからか、はたまた波長が合うのか。この部屋に着いた時には久美ちゃんや湊も随分、夏希さんに馴染んでいた。

夏希さんに確認しながらワイワイと楽しそうにグラスやカトラリーを並べている。

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