次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
⌘ ⌘ ⌘
大学時代、夏希さんにはとても仲の良い男性がいた。友達よりも近くて、でも恋人ほど確かな関係じゃない人。
自分の気持ちを認めるは怖くて、相手の気持ちを確かめるのはもっと怖くて。曖昧で心地よい距離感をずっと保っていた。
でも、就活の時期にその関係に変化が生じた。
なかなか希望の会社に内定がもらえなかった彼がポロリと言ってしまったんだ。
「夏希と付き合ったら親父さんの会社に雇ってもらえるかなぁ」って。
それはほんの軽口。全然本気じゃなくて、言った本人が忘れてしまうくらいのくだらない軽口。
でも小さな時から社長令嬢という立場のせいで、沢山の人間の思惑を感じ取ってきた夏希さんには聞き流すことが出来なかった言葉だった。
自分の事を理解してくれてると信頼していたからこその深い傷。相手にはそんなつもりはなかったと信じていても、忘れる事は出来なかった、と小さく零した。
「なによりね、好きなはずの彼の些細な言葉に振り回されて、疑ってしまう自分がイヤだったの。このまま私は、一生誰も信じられないまま生きていくんだって」
大学時代、夏希さんにはとても仲の良い男性がいた。友達よりも近くて、でも恋人ほど確かな関係じゃない人。
自分の気持ちを認めるは怖くて、相手の気持ちを確かめるのはもっと怖くて。曖昧で心地よい距離感をずっと保っていた。
でも、就活の時期にその関係に変化が生じた。
なかなか希望の会社に内定がもらえなかった彼がポロリと言ってしまったんだ。
「夏希と付き合ったら親父さんの会社に雇ってもらえるかなぁ」って。
それはほんの軽口。全然本気じゃなくて、言った本人が忘れてしまうくらいのくだらない軽口。
でも小さな時から社長令嬢という立場のせいで、沢山の人間の思惑を感じ取ってきた夏希さんには聞き流すことが出来なかった言葉だった。
自分の事を理解してくれてると信頼していたからこその深い傷。相手にはそんなつもりはなかったと信じていても、忘れる事は出来なかった、と小さく零した。
「なによりね、好きなはずの彼の些細な言葉に振り回されて、疑ってしまう自分がイヤだったの。このまま私は、一生誰も信じられないまま生きていくんだって」