次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
ポロポロと水晶みたいに綺麗な涙を零す夏希さんはさっきとは違う、自然で穏やかな顔をしてる。

「後悔しないようにって日本に帰って来たけど、私はやっぱり過去に囚われて前は向けてなかったんだね。久美ちゃんと湊ちゃんに教えてもらって、今やっと本当の意味で決着がつけられたよ。彼を好きだった自分を誇らしく思える。
ね、今日はお祝いしよう!私の二度目の生誕記念だもん!」

「え?二度目って二才のお誕生日ですか?」

さっきまであんなに大人な話をしていた久美ちゃんが、本領を発揮してトボけた返事をするから、みんなで大笑いした。

夏希さんも湊も私も涙を流すくらい笑ったから、きっと誰も気付いてないよね?私の涙にちょっとだけ悲しい涙が混じっていた事。













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